国吉祭は、岡山市出石町出身の洋画家で社会活動家の国吉康雄(1889-1953)の作品と研究資料をコンテンツとした体感型アートイべントで、2013年から開催されています。現在、アメリカでの再評価が進む国吉康雄ですが、その作品を世界有数の規模で保有するのが岡山です。2013年の国吉祭では、国吉康雄に興味を持った高校生たちの一夏を描いた顕彰短編映画作品『国吉康雄を探して』を初公開。作品は現在、YouTubeの特設サイトでご覧頂けます。2014年は岡山シティーミュージアムで『ヤスオ國吉・岡山展』を開催。初公開となる《黄色い服の婦人》などを紹介しました。2015年はスミソニアン展での回顧展の報告と、岡山大学に《国吉康雄研究寄付講座》が設置されたことを記念して、シンポジウムを開催。4回目となる2016年の国吉祭では、国吉康雄研究寄付講座の講義の中で企画・運営を試み、国吉作品のような地域芸術文化資源を活用し、楽しみ、次世代へ伝える主体的な人材を育てるため、地域の行政、教育、文化、企業が関与する連携事業として企画・実施されました。
そして、2017年の国吉祭では、岡山地域芸術文化資源を活用したオリジナル舞台劇「老いた道化の肖像を巡る幾つかの懸念」の製作及び関連(教育・地域連携)協働事業は、「岡山の地域資源を活用したクリエイティブ人材育成プログラム」として、(公財)岡山市スポーツ・文化振興財団、(公社)岡山県文化連盟、岡山商工会議所との共催により開催し、岡山市芸術祭、岡山県民文化祭の参加事業として「オリジナル演劇作品の上演」を実施いたしました。
企画と制作は岡山大学の教養教育科目で実施されている「クリエイティブディレクター養成講座」受講生が演習プログラムとして担い、岡山大学学生有志に加え、岡山後楽館高校クニヨシ部所属の高校生や出石国吉康雄勉強会からの社会人も参加する「岡山市のクリエイティブセクターの活性化を図るプログラム自主ゼミナール」も合わせて開催し、この活動を支援しております。
この運営のために、岡山市内に拠点を置く、行政、教育機関、企業との人員、資材、資金面での連携が行われています。また、東京で活動する俳優やアーティスト、クリエイターが、「国吉康雄や瀬戸内のアートが好き」、「岡山に自身のルーツがある」といった理由で参加し、岡山の学生たちとの協同に挑んでおり、このプログラムの運営によって明らかになった課題を通して、岡山の地域課題としての「芸術・文化資源」の保全と有効的な運用による「文化意識と地域活性化を育み、市民の人生の質を向上する」ためのレポートを、岡山大学の講座と自主ゼミ合同でまとめ、関係各所に発表させていただくことになっております。「文化がまちに出る!地域いきいきプロジェクト」「岡山市芸術祭」「国吉祭2017」の参加事業としても運営され、後援には岡山県と岡山市の教育委員会が入り、産官学+市民の連携体制で実施されました。